「プレイヤー」から「ライター」へ~探偵ライターになって良かったこと~
探偵業専門という一風変わったライターになった僕も、元々はある企業で調査員をしていました。
その頃は「探偵として一人前になって、誰よりも腕のある探偵になってやる!」という思いだけで仕事をしていましたし、その強い思いは現役を一時退いた今でも、まだ胸の中で燻っています。
しかし、探偵業を離れてライターとして筆を執るようになってから一年がたった今、この仕事を選んで良かった点も色々と見えてきました。
また、その部分に探偵業界に新たな風を吹き込める可能性を感じてもいるので、今回は探偵ライターとなって感じたメリットについて説明させてもらいます。
■探偵業界をより客観的に見れるようになった
業界から離れて最も良かったことは、探偵業界という世界をより俯瞰的に見つめることができた点です。
現役のころは、仕事をしながら自分のスキルを磨くことしか頭にありませんでしたが、現役を退いて少し離れた場所から業界を眺めてみると、今までみていた探偵の世界とは違った風景が広がっていることに気が付いたのです。
これはライターとして探偵業に関わって最も良かったな点だと感じています。「プレイヤー」ではなく「ライター」になったことで、より冷静に、より客観的にこの業界を見ることができたのです。
また、業界から発信された情報がどの様にしてユーザーに伝わっているのか、ユーザーが探偵に求めているものが何かも、俯瞰することで明確に捉えることが出来ました。特に探偵業界が力を入れているアフィリエイトの仕組みについて理解できたのは大きな収穫です。
■他社の良い所がどんどん見つけられる
探偵業界を俯瞰する能力が養われると、この業界には本当に良い探偵社が沢山あることを知れました。
もちろん、まだまだ各社様への取材を行えている訳ではありません。ただ、常に業界の動向をチェックし続ける立場に立つと、名前だけは知っていた探偵社の凄さや、まだまだ目立ちはしないものの、面白い戦略を取っている企業が沢山あることに気が付けたのです。
実は、探偵業界というのは他社へのライバル意識がとても強い世界です。この点については後程触れさせて頂きますが、とにかく「大手」VS「中小」という対決がとにかく目立つ世界でもあります。
そうした世界に居ると、ライバル関係にある他社を認めることは難しいですが、この点も「プレイヤー」から「ライター」になった今はとてもニュートラルな気持ちで業界を見渡せるようになりました。
■探偵業の良い所や問題点が理解できる
探偵業界というのは、社会的にはやはりイメージの悪い業界です。
しかし、その中でも自社のイメージアップに力を入れいてる企業は多いです。一企業だけでなく、協会単位や、政治団体などが一生懸命業界のイメージアップのために働いています。
そうした姿は、探偵業のみに注目し続けている僕の様な変わり者には輝いてみえても、それ以外の多くの依頼者や、依頼を考えている方には届いていないのが現状です。
実をいうと、その問題をどう解決するのか、ライターとして出来ることはあるのかを考えない日はありません。ビジネスライクに仕事はしても、僕が書く文章には必ず業界のイメージアップに繋がる何かを織り交ぜなくてはと、色々と試行錯誤をしています。
■探偵についてより深く知れる
ライターになってもう一つ良かった点は、探偵の技術的部分だけではなく、業界の成り立ちや探偵の歴史、そして探偵として活躍された多くの方々について知ることが出来た点です。
これはもはや「探偵マニア」とも言うべき僕らしいメリットですね。仕事を通して、より多くの方々に探偵業を知ってもらうために資料を漁る内に、すっかり探偵博士化してしまったのは言うまでもありません。
また、リアルの探偵のみならず、フィクションにおける探偵につても詳しいのは、もともとのミステリ好きが高じてのことです。「探偵」と名のつくものであれば、どんな情報でも収集し続けるフリークでいられるのは、ライターの特権かもしれません。
ちなみに、実在の探偵で最も好きなのは「ウジェーヌ・フランソワ・ヴィドック」と「目川探偵」フィクションの世界で好きなのは「フィリップ・マーロウ」です。
探偵の方々なら分かるのですが、こんなこと、現役時代に言っていたら良い笑いものですよね。
ただ、今は一ライターの身分。この知識こそが武器ですから、存分に探偵オタクぶりが発揮できます。
■ライターになったのは必然だった?
結局は現役の方々へのリスペクトが強いものの、業界から少し離れた場所でライターとして活動することは、僕にとってとても大切な事であるように感じています。
現役では見えてこなかったもの、知れなかったものに出会え、なおかつ探偵の良さについて紹介しながら生活できるなんて、探偵を辞めた頃には想像すらしていませんでした。
また、探偵業界の問題点についても、依頼者に近い目線で触れられるのはライターの強みでもあります。
探偵業を専門にしているライターは僕一人であり、先人は誰もいません。そのため、初めから手探りの状態で仕事をしていますが、それでも日々精進しながら、影ながら業界を支える一人になれればと思っています。